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映画と、映画以外の全て、の2つについて。twitterは@cathexis_impish

『ベイビードライバー』 覆された「『君の名は?』の法則」

長年、映画を観ていると自分だけの法則のようなものが出来るものです。
以前、ファーストショットだけでこの映画が自分にとって名作になるかがわかる、なんてことを書いたことがあります。

cathexis-impish.hatenablog.com

 そういう私だけの法則。

 

もちろん、この映画観たのは失敗だ、と落胆する法則もあります。
そのうちの一つが、「あなた、名前は?」と問いかけられた主人公がそのお名前を観客の皆様へお披露目する、というものです。
これを私個人だけひっそりと「『君の名は』の法則」と呼んでます。

 

つまらない映画というのは、のっけから面白くなりそうな気配が全く感じられないものですが、
「あなた、名前は?」のセリフが出てきた瞬間に疑念が確信に変わるのです。

 

 

ところが、この『ベイビー・ドライバー』で堅牢だったこの法則が見事に砕け散りました。
ベイビーとデボラが初めてじっくりと会話をするシーンで、デボラは「あなた、名前は?」って聞きます。
しかし名前を聞くことが、この映画の根幹をなしている音楽を絡ませて、とっても素敵なシーンになっていました。

 

マイナスの法則が覆されるのは、とても嬉しいです。決めつけは良くない良くないね。
もやもやした中から抜け出した開放感、ドライブだけに疾走感か。晴れ晴れとした心持ち、鼻が短くなったときと同じような。

 

それと、育ての親が耳が不自由で喋らず、手話で会話する設定なのは、障がい者はみないい人、なんてステレオタイプな理由ではなく、ベイビーの本名を最後まで隠すためだったからでしょうね。
してやられました。

 

なお、主人公が自分から名乗ったあとに続いて相手も名乗る「僕の名は」についての法則は特にありません。

 


今年観た中では『ハクソー・リッジ』が良かったです。
負傷した味方の兵士が「神よ!」と叫ぶ声が主人公の顔にかぶさり、駆け出していく瞬間に心を揺さぶられました。
来年はどんな映画と出会えるのでしょうか。
もう覆ったのだから、尋ねましょう。
「おい、そこの2018年の名作映画。おまえの名前は?」

 

それでは良いお年を。