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スクリーンを横から見てみる

映画と、映画以外の全て、の2つについて。twitterは@cathexis_impish

『シング・ストリート』誰かこの書き散らした記事の断片をひとつの曲にしてくれ

映画 音楽

“Rock’n Roll is a risk. You risk being ridiculed ”

 

 この言葉を教えてもらっただけでも観に行った意味があったといえる映画でした。

 今まで、いったい何を指しているのか、なんとなく分かってる感じはしてるけどちゃんと言葉では説明できずモヤモヤしていたロックという言葉が、ストンと腹に落ちる。ナンシー関のコラムを読んでる時によくあった、あの感じ。志の輔師匠に促されるまでもなく私は目の前のボタンを叩きます。そして内田裕也がカッコイイ、と私の世界の見え方が変わりました。

 

 少年から大人に変わる壊れかけの時期、音楽と、女と、大人へと引っ張ってくれる年上の人物、の最強装備で迎えた思春期。少年にとって、これほど恵まれた青春時代はないでしょう。音楽が映画だったら『ニュー・シネマ・パラダイス』でしょうか。

 

 ジョン・カーニー監督は、瞬間を捉えるのが上手ですね。ただの音が音楽に変わる瞬間、恋に落ちる瞬間を、ほのかに薫るくらいの表現で、効果的に観客の心を掴みます。まるで香水のつけ方が上手な女性のように。

 ブレンダンはきっとドイツに行くでしょう。姉も画家を目指すでしょう。ほのかですが、薫ってきます。コナーの未来も、エンドロール最後の音声のやりとりを良い方に捉えます。

 

 もうひとつ上手なのが、現実から空想へ、流れるような。みなさん涙ぐむとご指摘のアレ。『はじまりのうた』でダンの頭のなかでアレンジが出来上がるくだりのアレ。

 実際、現実と空想がシームレスに繋がってますよね、あんな風に。Happy Sad は同じG線上にあることをあらためて意識させられました。

 ”映画は何でもアリというのはこういう手法のことでしょう。うまく出来ない言い訳を「何でもアリ」「実験だ」と謳わないでほしい。美しく歌ってください。100歳以上じゃないと分からないとかヤメて。

 

 ラスト、ふたりの乗った小舟の行く先に嵐。大型フェリーの乗客は、遥か上から小さな二人に手を振っている。腹の中では笑っているのか、気にも留めてないのか。そんなことふたりはじゅうぶん承知でしょう。笑われるのは覚悟の上だから。

 

あー、いい映画でした。

 

 

 バンドメンバーの描き方が足りないと周りの人たちにもウェブでの感想でも多いですが、わたしは少年が音楽と女と出会って成長する物語だと思うので、そこだけにフォーカスしているのは当然だと考えます。登場人物を全部フォローしなきゃと、主要人物が活躍するシーンを入れたために2時間超えでダレてしまうのが最近の映画のダメな特徴でもありますし。映画は90分くらいが一番いいんじゃないかと思ってます。この映画の上映時間は106分。エンドロールなければ90分台後半、あと少し。あっ、それと最近の映画の特徴の一つ、冒頭で製作に関わっている会社のロゴ?が多すぎ。製作会社のみなさんはご一考願いたい。あなたの社名、好印象にはなってませんよ。『女神は二度微笑む』『グランド・マスター』は体感5分以上でしたよ。この映画は6つありましたね。アレなければ90分前半のはず。

 

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by the way,

 ジョン・カーニーが上手だということは分かるのですが、音楽を演奏する人を扱った映画で心掴まれるものとそうでないものがあるのはなぜでしょうか。そんなことを劇場を出てから考えてました。

 どうも受け取る側の人の反応をちゃんと描いていると冷めてしまう気がします。それも主要人物ではなく、「この曲よくない?」とか「これ何て曲?」とか言うためだけに出てくる観客AとBなんかを出しているものです。24時間後に死の宣告をされた人の歌も、TVディレクターのリアクションで台無しなんですね。

 今度、そういう視点から、そういう映画を見なおしてみようかと思いました。

 なんて思ってたら9月にテアトル新宿で『傑作音楽シネマ』という企画があるんですね。興味ある映画がいくつかありますね。

宣伝ではありません。別に関係者じゃないですよ。なんならリンクしませんし、企画の文句を書きます。

 

なんで『おとぎ話みたい』が入ってないんだ!

 

 

追記

コナーの父親ゲーム・オブ・スローンズの背筋ピンっでお馴染み、リトルフィンガーじゃないですか!もっと背筋伸ばしてたらワイフに浮気されずすんだかもしれません。姿勢は大事。

 

 

閑話休題

 この作品をもって一時閉館となる渋谷のシネクイント。ニュースでは「今後は検討中」とあり、お隣さんのシネマライズと同じ道を辿るんじゃないかと不安が募ります。

が、日本版サブタイトルの「未来へのうた」はシネクイントが独自でつけたメッセージだと勝手に解釈しておきます。

空想と笑われても構いませんよ。

笑われる覚悟はできてますから。

 

 

おまけ

『シング・ストリート』の感想を書いてるみなさんは、劇中の曲を紹介してまね。わたしもすぐ購入したクチで、知ってほしい曲はたくさんあるんですが、それはみなさんにお任せして。

衣裳とメイクの持つ力、ということで同じ80年代風を再現したMVを紹介したいです。

2007年もの。ただしこの映画のように最初ダサいのが次第にカッコよくなることはありません。最後のアップは正視できません。

www.youtube.com

 

 

シング・ストリート 未来へのうた (オリジナル・サウンドトラック)

シング・ストリート 未来へのうた (オリジナル・サウンドトラック)

 

 

 

 

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予告篇は退屈迎えに来て

映画

GW明けから急に忙しくなりました。冬から春にかけてあんなにヒマだったのに。

易経でいう「窮まれば変ず」ということなのでしょうか。

「窮まれば変ず」とは、物事は全て窮まった瞬間に変化する、ということ。冬が窮まれば夏へ、夏が窮まれば冬へ。行き詰まることなく頂点に辿り着くと転化して流転する。失恋した女性が哀しい唄を聴いてどん底まで沈めばスッキリする、と言ってるのは、知らず知らずのうちに「窮まれば変ず」を上手に使っているのでしょう。

 

しかし物事は、窮まるまで変化しないのでしょうか。

 

もういい加減変化してもらえないかなー、と思っていることの一つにここ数年の映画予告篇と映画作品の公式サイトがあります。

予告篇、細部は違えど同じもののように感じることありませんか?

予告篇の制作会社があるってことはチラと聞いたことがあるのですが、ほとんどその会社が作っているのでしょうか?会社内でフォーマットが出来ているのでしょうか?

 

その映画観て泣いている女性のショットや、お客さんに感想を言わせたり、「◯◯最高!」と言わせたりしていた時代が窮まり、

いまはストーリーを劇中のセリフを繋いで説明。

登場人物の性格や設定を大きな文字で説明。

最初はアップテンポの曲、次はメロウな主題歌の2曲構成。

コメディなら文字は同じようなフォント、色。ナレーションも同じ人?

 

短めのフェードイン・アウトでつなぐ意味深な感じのはだいぶ少なくなってきたようで良かったです。

客寄せならば、他とは一線を画すやり方で目立ってほしいところですが、決定権がある人はプレッシャーから無難な道を選んでしまうのでしょうか。

 

 

こういう予告がなくなりましたね。7月公開のデジタル・リマスター版の予告より、昔のほうが良かった、と懐古。

www.nicovideo.jp

 

 

名作は予告篇も他の作品とはひと味も違うものばかりなのか、調べたくなります。

www.youtube.com

 

ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の予告、一番短いヴァージョンを初めて観た時は本当に怖かった。

www.youtube.com

 

『アメリカン・スナイパー』予告篇で観に行くことを決めた作品でした。

www.youtube.com

 

この記事を書くにあたって、40本予告篇を観ましたが、『ガルム・ウォーズ』は他と毛色が違っていました。

www.youtube.com

 

 

 

そして公式サイト。

Wikipediaや関係ない人が書いた記事のほうが内容が濃く、知りたいこともすぐに探せるので公式サイトを訪れることはほとんどありませんが、たまに訪れると憂鬱になります。勝手に予告篇を始められるから。なんかひとりで勝手に盛り上がってる感じで、こっちは冷めてしまいます。予告篇を見たいがために公式サイトを訪れる人はいるの?他のことを知りたいから訪れるのに、いちいちクリックして閉じるのは、こちらが負けた感じがして気が滅入ります。

それで、現在の公式サイトはどのくらい勝手に予告篇を再生し始めるのか調べてみました。

調査対象は、movie walker の「作品を探す」の最新40作品です。

(2016年5月25日現在、METライブビューイング作品は除外しました)

 

勝手に予告篇が再生される公式サイト

『嫌な女』6月25日公開

映画『オオカミ少女と黒王子』公式サイト

映画『エンド・オブ・キングダム』公式サイト|5月28日(土)ロードショー!

映画『ヒメアノ~ル』 | 2016.5.28 ROADSHOW

素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店|2016年5月28日公開

映画『スノーホワイト/氷の王国』公式サイト 5.27(金)全国ロードショー

映画『神様メール』5月27日(金) TOHOシネマズ シャンテ他 <ミラクル>ロードショー!

5月27日(金)公開 映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』公式サイト

映画『海よりもまだ深く』公式サイト

劇場版『牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-』公式サイト

映画『ディストラクション・ベイビーズ』公式サイト

映画『シマウマ』公式サイト

映画『君がくれたグッドライフ』公式サイト

『映画 日本刀 ~刀剣の世界~』公式サイト

『殿、利息でござる!』大ヒット上映中!

映画『世界から猫が消えたなら』公式サイト

日本アニメーション40周年記念作品 映画『シンドバッド』

映画『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』オフィシャルサイト 2016年5月14日(土)ROADSHOW 世界からパンティが消える。正義が消える。

映画『心霊ドクターと消された記憶』公式サイト

映画『ひそひそ星』園子温最新作 2016/05/14公開

『園子温という生きもの』2016/05/14公開 この映画監督。なぜ こんなに嫌われ、愛されるのか?

【公式サイト】映画『追撃者』5月14日(土) シネマート新宿ほか全国順次公開

映画『マクベス』公式サイト|大ヒット上映中!

映画『ヘイル、シーザー!』公式サイト 大ヒット上映中!

映画『64‐ロクヨン‐前編/後編』公式サイト

映画『ヒーローマニア 生活』公式サイト

HiGH & LOW

「亜人」公式サイト

映画『テラフォーマーズ』公式サイト

映画『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』公式サイト 大ヒット上映中!

映画『追憶の森』公式サイト 4.29 Fri

 

予告篇は再生されない公式サイト

映画『復活』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

映画『アメリカ・ワイルド』公式サイト

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式サイト

映画『GARMWARS ガルム・ウォーズ』公式サイト

【ワーナー公式】映画(劇場作品)|チリ33人 希望の軌跡

映画「サンマとカタール 女川つながる人々」公式サイト

【公式サイト】映画『ヴィクトリア』5月7日(土)、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ|映画|マーベル|Marvel|

映画『ちはやふる』公式サイト

 

以上。

勝手に再生 31作品

再生しない 9作品

 

なんと、10作品中7、8作品の公式サイトが頼んでもないのに予告篇が再生されました。他作品と似たようなサイトで似たような予告篇が。

この状況、いつ窮まるのでしょうか。もう窮まっている気が私はするのですが、知らないところで変化は始まっているのでしょうか。

 

でも、それよりも、国道沿いの風景の均一化のほうが、政治資金の不正をめぐる問題のほうが、ストーカー被害の放置のほうが、地位協定で簡単に逃げられる米軍関係者の犯罪のほうが早く窮まり変化してほしいので、予告篇と公式サイトの変化はしばらく我慢します。

 

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『マイ・バック・ページ』 発見!日本の小物感俳優

映画

以前に『ゲーム・オブ・スローンズ』の出演者の小物感について書いたことがありました。

ハンサムで本当はカッコいいはずなのに、器の小ささがムンムンと漂っているのは物語なのか演出なのか衣装メイクなのか演技なのか、自分には分からない、という話です。その中で、日本人の小物感俳優は見た目が弱そうだったり意地悪そうな顔をしていたり、それっぽい人しかやらないことに不満を垂れていましたが、忘れていました。日本にもいました。『マイ・バック・ページ』をHulu で見なおして思い出しました。

この映画に出演している松山ケンイチさん。小物感が凄いです。器の小ささっぷりといったら女性が飲み会で10回はネタにできるのではないでしょうか。

それなのに、外見はカッコいい。愛嬌もある。

ならば『マイ・バック・ページ』の松ケンは、演出もあるでしょうが彼の演技力の賜物なのでしょう。彼のすべての出演作を観ているわけではありませんが、梅山役はベストアクトではないかと思います。

 

そういう風に観てみると、古舘寛治さんや長塚圭史さんも小物役が上手そうで、日本の俳優も捨てたものではありません。

 

16mmフィルムをブローアップさせた質感が作品の雰囲気とあっていて、グッと惹きつけられます。

Hulu 入っている人は大島渚監督『日本の夜と霧』とあわせて観ると良いかもしれません。

 

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